はいども(^^♪
精神科看護師のささやんです。
今回はせん妄のケアについて!!
前記事でせん妄の病態や、見抜く方法を紹介しているので、ご参照してください<(_ _)>
せん妄の治療薬??
皆さんはせん妄が起きた時はどのような対応をしていますか??
不眠時、不穏時尚の指示で対応しているでしょうか?
それともせん妄時の指示があるでしょうか?
せん妄を起こした時の第一選択薬は抗精神病薬が中心になります。
抗精神病薬には
①定型抗精神病薬
例;ハロペリドール(セレネース)など
②非定型抗精神病薬
リスペリドン(リスパダール)、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)など。
があります。
せん妄に関する抗精神病薬の位置づけは、急性期と緩和領域でも違ってきます。
緩和医療におけるガイドラインでは、エビデンスレベルは低いものの「オピオイドを用いている患者にせん妄が発症した場合は、抗精神病薬がせん妄を改善する」と記載されています。
急性期よりも積極的な抗精神病薬投与が推奨されています。
一方、急性期のせん妄治療では、抗精神病薬は積極的には推奨されていません。
非定型抗精神病薬の場合・・・
J-PAD(日本版-集中治療室における成人重症患者対する、痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン)には「クエチアピンは最初のせん妄焼消失までの時間、せん妄持続時間、不穏の時間が優位にプラセボより短かったが、統計学的検出は不十分である」と記載されています。
PAD(成人重症患者に対する鎮痛・鎮痛薬の使用に関する臨床ガイドライン)には「非定型抗精神病薬(リスペリドン、クエチアピン、オランザピン)はせん妄の期間を短縮するかもしれない。」と記載されています。
定型抗精神病薬の場合・・・
J-PADには定型抗精神病薬に関する記載はなく、PADには「ハロペリドールがせん妄の期間を短縮する効果はない」と書かれています。
しかし、抗精神病薬の多くは経口投与であり、急性期に使用できる注射はハロペリドール(セレネース)しかありません。
せん妄に対する抗精神病薬の位置づけは「せん妄が出現している期間を短縮するかもしれない」という程度しかないのです。
せん妄の治療には非薬物療法が第一選択となります。
原因が身体疾患の場合は身体疾患の治療を行い、薬物が原因であれば、薬剤の検討を行う。
薬物を使用するときは、夜間の興奮などが起こった時など、必要最低限にする必要があります。
看護師にできるケア
では、薬物療法以外に看護師にできることは何でしょう??
前回の記事にて3大リスク因子について解説しました。
その中でも促進因子のアプローチが看護師の中心的な役割になってきます。
基本的には予防的なケアを行ていくのが必須です。
せん妄予防でエビデンスがあるのは非薬物療法的介入のみだからです。
具体的なせん妄予防に関しては後日記事を書いていきます<(_ _)>
せん妄発症時のケアについて
直接因子を減らすケア
→正常な酸素化の維持、血圧維持、排泄パターンの維持、輸液、電解質バランスの維持、睡眠・覚醒の維持を図る
など、内部環境の安定性を図っていく必要があります。
これらは主治医とも連携してケアを行っていく必要があります。
促進因子を減らすケア
→睡眠できる環境を作る、昼夜の区別を明確にする、見当識を保つ、疼痛の緩和を図る
など外部環境の安定性を図ります。
またせん妄に関する有効な介入の一つがリハビリテーションであり、離床を促すことやEM(早期からのモビライゼーション)を行うことが推奨されています。
看護師と理学療法士や、作業療法士との連携も重要になってきます。
安全を確保する
重要なのが安心・安全を守るケアです。
患者のドレーンの自己抜去などの自傷以外にも、看護スタッフへ暴力があるなどの他害も見られることがあるので、患者-看護師ともに安全への確保を忘れないようにしましょう。
もし、せん妄を発症した場合、身体抑制も考える必要がありますが、人権や尊厳などの問題と、拘束自体がせん妄を起こすリスクになっていますので注意が必要です。
看護師にできることとしては、ドレーン類の抜去予防として
・ルートの長さ調節
・テープ固定の違和感軽減
・ルートが視野に入らないようにする
などがあります。
環境整備をしていくことが重要です。
まとめ
せん妄のケアは予防ケアが大切になってきます。
そして、せん妄が発症してしまったら、リスク因子を治療していくことで改善していきます。
夜間の不穏などで抗精神病薬の使用してもよいですが、効果があって、入眠したとしても、それは一時的なものであり、根本的なせん妄の治療にはなっていないのです。
抗精神病薬を使用しながら、せん妄を起こしている原因は何かを同時に探っていき、それを治療することでせん妄が改善されていきます。
看護師にできる促進因子の除去を積極的に行っていき、せん妄発症時の正確な観察を医師へ報告する、昼夜の活動リズムを付けるためにもリハビリを行うなど、せん妄治療には多職種との連携が重要になってくるんです!!
ということで今回はここまで!!
次回はせん妄予防について記事を作成していきます。
ここまでありがとうございました<(_ _)>
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