はいドーモ(^^)/
精神科看護師のささやんです!!
今回はお薬の解説をしていきます。
作用、副作用、薬の特徴、薬の選択など知らなかったことが続々と出てくるかと思います。
少し難しい話ですが、できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います(^^)/
抗うつ薬の分類
まず抗うつ薬には何個か種類があります。
新世代)SSRI、SNRI、NaSSA
旧世代)三環系と四環系
があるのはご存じの方も多いかと思います。
それでは、各々どんな特徴ががあるのでしょうか。
SSRI、SNRI、NaSSAの薬理作用
SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬
SNRI:選択的セロトニン・ノルアドレナリン阻害薬
多くの精神症状の発現には、神経伝達物質の量の変化がかかわっていることが知られています。
うつ症状の発現には、セロトニンとノルアドレナリンが大きく関与しています。
脳の神経と神経の間にこれらの神経伝達物質が放出され、受容体に結合すると、刺激を伝えます。
しかし、一部の神経伝達物質は放出された方の神経に再び取り込まれ再利用されてしまいます。
そこで、何らかの理由で減ってしまった、セロトニン、ノルアドレナリンなど神経伝達物質の再取り込みを阻害することで、濃度を上げて、うつ症状を改善させます。
少し難しい話でだいぶ省略していますが、こんな感じです(^^)
NaSSA:ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬
NaSSAはどのようにしてセロトニンとノルアドレナリンを増やしているのかというと、
α2受容体という物質に関連してきます。
α2受容体は、ノルアドレナリンとセロトニンの量を制御し、ブレーキをかける役割を担っています。
NaSSAはα2受容体に関して高い親和性を持っているため、α2受容体をブロックしブレーキを外してやることでセロトニン、ノルアドレナリンの遊離量が増加します。
増えたノルアドレナリン、セロトニンが隣接する神経細胞を活性化し、おのおのが神経伝達物質を放出するようになります。
こうしてセロトニン、ノルアドレナリンの量を増やしてうつを改善していきます。
また、NaSSAはドーパミンを増やす効果があると言われています。
SSRIとSNRIの使い分け
抗うつ薬は、個々のケースに合わせて選択されることによって高い抗うつ効果を示します。
なので、抗うつ薬の種類や効力を比較しても意味がありません。
薬物療法で最も重要なことは症状に合わせた薬剤選択をすることになります。
選択した薬剤で症状がどう変化するのかを見極め、容量を変化させていくか、変更するかの判断を繰り返していきます。
そのためにはまず、セロトニンとノルアドレナリンがどのような生理機能を担っているかを理解しなければなりません。
代表的な生理機能
セロトニン:気分、認知、衝動、食欲、不安、性欲、自律神経
ノルアドレナリン:意欲、気力、活動、睡眠、不安、自律神経
これらの機能が障害された状態はうつ状態に出現する症状と同じ事がわかります。
うつ症状の中で特徴的な症状は、「抑うつ気分」と「意欲、気力の減退」です。
これらはそれぞれセロトニンとノルアドレナリンが担当しています。
なので、「抑うつ気分」の症状が前面に出ているときはセロトニン神経系のトラブルが強く出ていると判断し、「SSRI」を
なので、「抑うつ気分」の症状が前面に出ているときはセロトニン神経系のトラブルが強く出ていると判断し、「SSRI」を
「意欲、気力減退」が前面に出ている場合は「SNRI」を選択します。
両症状が同じくらいなときは「不安」に着目します。
強迫的で被害的な内容を伴う不安があるときは「SSRI」を
衝動性を伴わない漠然とした不安のときは「SNRI」を選択します。
簡単に言うと、取り乱しやすさや余裕のなさを抱える場合は「SSRI」
やる気のなさや億劫感が認められる場合には「SNRI」です。
すべての機能が低下し、セロトニン、ノルアドレナリンに関連した症状が混在して、主となる症状が変動し、良くならないようなケースではセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの神経伝達物質が減少していると考え、「NaSSA」を選択します。
ここまでわかってくると、医者がどのような意図でその薬を出しているのか、どの部分を観察してほしいのかが、わかるようになってきます。
また、普段患者と接している看護師だからこそ変動する症状が把握でき、医者に報告できるようになります。
患者のどこに注目して関わっていくのかが大事になってきますね!!
薬の作用機序を理解すると観察ポイントが他の看護師と比べ一歩抜きんでることが出来ると思います(^^)/
薬の性質によってそんな症状が出て、どんな対応ができるとか、アセスメントの幅が広がるね!!
旧世代抗うつ薬について
旧世代抗うつ薬は薬理作用で分類すれば、比較的強いノルアドレナリンの再取り込み阻害作用と、セロトニンに対して弱い再取り込み阻害作用があることから、SNRIに分類されます。
旧世代と言われるくらいだから効果は無いのか??
そんなことはありません!!
うつを改善させる力という点では、世代による大差はないんです。
大きな違いは副作用です。
新世代の抗うつ薬は選択性を高めたことによってうつ症状との発現とは関係のなが少ない神経系への影響を低減し、副作用や毒性を大きく軽減したことが特徴になります。
旧世代抗うつ薬では、確かに副作用は目立ちます。
しかし、新世代薬が効かず、旧世代ではないと改善しないケースが存在するんです。
また、抗うつ効果は新世代よりも早く表れるといった研究結果や、難治例、重症例には旧世代のほうが治療効果が高いといったような研究も発表されています。
抗うつ薬の副作用
これまで作用について色々解説してきましたが、主作用だけの都合のいい薬はありません。
抗うつ薬にはどんな副作用があるのか。
①三環系、四環系(抗コリン作用による副作用がすぐに現れる)
コリン関連(口渇、便秘、排尿困難、かすみ目、複視)
ヒスタミン関連(過鎮静、体重増加)
アドレナリン関連(眠気、めまい、ふらつき、頻脈、低血圧)
この中でも抗コリン作用による症状は比較的強く出ます。
②SSRIの副作用(消化器症状が特徴)
コリン関連(口渇、便秘、下痢)
セロトニン関連(吐き気、食欲不振、便秘、下痢、頭痛)
アドレナリン関連(眠気、めまい、ふらつき)
旧世代と比べてもかなり副作用が抑えられている反面、消化器症状は目立って感じ取れます。
朝刊お運動を制御する神経系がセロトニン系なので、最初に消化器症状が現れるのは当然と言えるかもしれません。
ちなみに体内全体のセロトニン量の90%は腸管にあり、のには残りの数%しかありません。
そのセロトニンが少し減っただけで、鬱を発症してしまうのです。
③SNRIの副作用(SSRI同様、消化器症状が特徴だが・・・)
SSRIと大きく異なる点としてはノルアドレナリン作用による、動機や振戦がある事です。
④NaSSAの副作用(傾眠、口渇、倦怠感が特徴)
日本で使用されているNaSSAはミルタザピンの1種類です。SSRIやSNRIと同じく消化器症状が現れますが特筆すべきは眠気です。
ただこの副作用を利用して、就寝前に内服することで、鬱の症状としての睡眠以上の改善に用いることができます。
代表的な抗うつ薬の種類
三環系
イミプラン(イミドール、トフラニール)
黒味プラン(アナフラニール)
アモキサピン(アモキサン)など
四環系
マプロチリン(ルジオミール)
ミアンセリン(テトラミド)
セチプチリン(テシプール)など
SSRI
フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)
パロキセチン(パキシル)
セルトラリン(ジェイゾロフト)
エスシタロプラム(レクサプロ)
SNRI
ミルナシプラン(トレドミン)
デュロキセチン(サインバルタカプセル)
ベンラファキシン(イフェクサー)
NaSSA
ミルタザピン(レメロン、リフレックス)
まとめ
今回はかなり難しい内容になってしまいました・・・(´;ω;`)
分かりやすく解説したつもりでしがいかがでしたでしょうか??
なぜこの薬が処方になっているのか。
薬の副作用はどんなところに注意しなければならないのか。
抗うつ薬はどんな症状を改善するのか。
薬のことがわかってくるとかなり精神科領域が面白くなってきますよね( *´艸`)
自分もまだまだ勉強していきたいと思います。
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