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【精神疾患】抗精神病薬の解説~定型抗精神病薬編~【簡単解説】

精神科看護

はいドーモ(^^)/

精神科看護師のささやんです(‘;’)

突然ですが統合失調症でどうして陽性症状や陰性症状が出るか知っていますか??

ドーパミンが関係していることは何となく知っている人も多いかと思います。

ただドーパミンがどこに作用して、どのような効果があるか。

脳の仕組みと和せて覚えておくと、作用や副作用が分かりやすくなり、

観察ポイントを把握できると思います。

治療には向精神薬が使用されていますが、その中にも種類があって

向精神薬?抗精神病薬?定型抗精神病薬?非定型抗精神病薬?

色々あってわかりづらい!!

そんなお困りを解決するために!!

今回は、統合失調症の病態生理と合わせて

定型抗精神病薬を解説していきたいと思います。

向精神薬と抗精神病薬

まずは、わかりづらい向精神薬についてです。

向精神薬とは、中枢神経系に作用する薬物の総称です。

薬剤ではなく薬物となりますので、違法なものまで含まれています。

抗精神病薬はその中の種類の一つです。

抗精神病薬とは読んで字のごとく、精神病に抗う薬と言うことです。

また抗精神病薬をメジャートランキライザー(メジャー)と呼ぶことがあります。

反対に抗不安薬や睡眠薬はマイナートランキライザーと呼ばれます。

マイナーのお薬に関しては依然解説していますので、興味のある方は覗いていってください。

抗精神病薬の主な適応は統合失調症ですが、中には双極性感情障害の躁状態、

躁病、老年期精神障害などにも適応がある抗精神病薬もあります。

統合失調症の症状(3大症状の解説)

では、抗精神病薬が作用する、統合失調症の症状についてです。

統合失調症の症状は多彩ですが、陽性症状、陰性症状、認知障害に大別されます。

陽性症状と陰性症状のちがい

陽性症状は健康なときにはないはずのものがある、加わったことを意味しています。

陰性症状は健康なときにあるはずのものがない、ことを意味します。

陽性症状

陽性症状は幻覚(幻視、幻聴など)、妄想(被害妄想、被毒妄想、誇大妄想など)、自我障害(思考吹入、思考伝播、考想察知など)があります。

これらはドーパミンの過剰によって生じると考えられています。

ドーパミンの経路には

中脳辺縁系、中脳皮質系、黒質線条体系、漏斗下垂体系の4つがあります。

陽性症状はその中でも中脳辺縁系においてドーパミンの過剰が起きた時に生じると考えられています。

統合失調症症状が発現している状態の中脳辺縁系ではドーパミンが過剰に放出され、そのドーパミンを受ける受容体側は正常に作動しているため、その放出量に対応した過大な信号が伝えてしまいます。

その結果、本来存在しないはずの信号が生じ、幻覚、妄想、自我障害といった陽性症状が引き起こされるのです。

そっか、、、そしたらドーパミン放出量を減らすお薬を使えばいいんだ!!

となりたいですが、ドーパミンの放出量がなぜ増えるのかは未だにわかっていません。

なぜ増えるのかが分からないため、減らす方法についても解明されていないのです。

そのため抗精神病薬では、正常なドーパミン受容体側に蓋をして、過剰な信号が伝わらないよう弱める働きをします。

陰性症状と認知障害

陰性症状の種類

意欲障害

能動性の低下、興味喪失

感情障害

感情鈍麻、感情不調和、両価性

社会性障害

自閉(閉じこもり)、疎通性の低下

認知機能障害

外部からの刺激を取情報としてとらえる際に、情報の取り込み、記録、再生におけるすべての情報処理プロセスで問題が生じる。

症状としては注意、記憶、学習、執行なども脳高次機能の低下として現れる。

陰性症状と認知障害は、中脳皮質系のドーパミンの減少によって引き起こされていると考えられています。

ただ陽性症状と同様になぜそうしたことが起こるのかは解明されていません。

ではどう治療するのか??

定型抗精神病薬はドーパミン受容体への遮断がメインの薬剤となります。

ドーパミンが足りてないのに、受容体への作動をカットしてしまうと、

さらに悪化しますよね。

それはこで出てきたのが非定型抗精神病薬の使用です。

非定型抗精神病薬についてはまた次回解説します!!!!

定型抗精神病薬の特徴

薬理作用から「ドーパミンの受容体遮断作用がメイン」のものが定型抗精神病薬

「いくつかの神経伝達物質に対して、より選択的な働きを機能をもつ」のが非定型抗精神病薬

となります。

日本でよく処方される定型抗精神病薬といえば

コントミン、レボトミン、セレネース、インプロメン、トロペロン、クロフェクトン、クレミン

スルピリド、ゾテピンなどがあります。

これらは化学構造の違いで5種類に分類されますが、どの系統の薬もドーパミン受容体の遮断です。

「この症状にはこの系統が効く」というのはないので、ケースに合う薬を選んでいく必要があります。

定型抗精神病薬の副作用

定型抗精神病薬で症状を抑えられている人はたくさんいますが、副作用の発現を抑える点では取り扱いが難しい薬です。

脳内のドーパミン受容体の遮断率が65%になった時、抗精神病薬作用が得られます。

それ以下だと得られません。

しかし、ドーパミン受容体の遮断率を上げすぎてしまうと、72%遮断でプロラクチン値が上昇、78%以上で錐体外路症状が現れると言われています。

このように精神症状に効果があり、副作用を発現させないのは65%~70%程度と非常に狭い範囲です。

ですが定型抗精神病薬だと微調整が難しい面があります。

中脳辺縁系、中脳皮質系、黒質線条体系、漏斗下垂体系の4つの経路があることを説明しましたが、

定型抗精神病薬の作用は中脳辺縁系だけでなく、ほかの3つの経路にも及びます。

中脳辺縁系でドーパミンが過剰だと、陽性症状があるので効いてくれますが、

中脳皮質系ではドーパミンの現象が起きており、定型抗精神病薬を使用することでさらにドーパミンの

減少が起き、陰性症状へつながります。

黒質線条体系では、統合失調症症状を発症しても、ドーパミン量は変わっていませんが、

定型抗精神病薬を使用すると、ドーパミンが遮断され、錐体外路症状が出現します。

漏斗下垂体系では、ドーパミンの量は変化していません。

しかし、ドーパミンの量が変化していないのに、ドーパミンの受容体を遮断してしまうと、

高プロラクチン血症や性機能障害を出現することがあります。

まとめ

定型抗精神病薬は陽性症状にのみ作用する薬です。

幻覚や妄想のある患者へ対しての使用は適切かもしれませんが、副作用には十分注意しましょう!!

今後解説する非定型抗精神病薬もあるので、作用、副作用を比較していく必要がありますね。

陽性症状にはドーパミン説を解説しましたが、グルタミン酸低下説というのもあるみたいです。

現在研究中なので、グルタミン酸神経の機能を上げるような薬が出来てくればまた治療の幅が広がるかもしれませんね!!

統統合失調症をもっと詳しく知りたい!!統合失調症だけでなく他の精神疾患の事も知りたい!!

という方は下記の文献を参考にしていますので読んでみるのもありだと思います( *´艸`)


以上、ありがとうございました。

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