前回は定型抗精神病薬について解説しましたね!!
まだ読んでいない方や定型抗精神病薬も知りたい方は是非読んでみてください(^^)/
ということで、今回は非定型抗精神病について解説していきます!
定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬って何が違うんだろう・・・??
今さら恥ずかしくて人に聞けないしなあ・・・
って悩んでいる人多くありませんか??
実際に働いていても特徴や定型と非定型の抗精神病薬の違いをしっかり理解している看護師って少ないと感じています。
ささやんは精神科の看護師を10年してきましたが、正直言ってかなり難しい分野ですね。
ただ、薬の事をわかってくるとDrが何を期待しているのかが分かり、注意して観察するポイントも明確になります。
看護師としてのレベルを上げるためにも良く理解しておかなければならない領域ですので、
ぜひ参考にしていただければな・・・・と思います(^^)/
今回は作用はもちろんの事、副作用の詳しい解説をしていきます。
なぜこの副作用がでるのかが分かると、ぐっと面白くなりますので、
しっかりとついてきてください( ..)φメモメモ
非定型抗精神病薬のモデル(作用機序や種類)
まずは非定型抗精神病薬のモデルを理解して、どんな物質がどこに作用しているかを把握しておきましょう( ..)φメモメモ
分類が分かると
非定型抗精神病薬は日本では4つの分類がされています。
SDA(セロトニンとドーパミン両方の受容体に作用)
MARTA(各種の神経伝達物質受容体に作用する)
DSS(セロトニンとドーパミンに作用するのはSDAと同様。ドーパミンを遮断した後にDSS自体が弱いシグナルを発生させ神経伝達する転移特徴がある。)
SDAM(DSSの機能のうち、セロトニンへの働きを強めたもの)
代表的な薬剤としては
SDA
リスペリドン(リスパダール)
ペロスピロン(ルーラン)
ブロナンセリン(ロナセン)
パリペリドン(インヴェガ)
MARTA
オランザピン(ジプレキサ)
クエチアピン(セロクエル)
アセナピン(シクレスト)
DSS
アリピプラゾール(エビリファイ)
SDAM
ブレクスピプラゾール(レキサルティ)
SDA(セロトニンとドーパミン両方の受容体に作用)
MARTA(各種の神経伝達物質受容体に作用する)
DSS(セロトニンとドーパミンに作用するのはSDAと同様。ドーパミンを遮断した後にDSS自体が弱いシグナルを発生させ神経伝達する転移特徴がある。)
SDAM(DSSの機能のうち、セロトニンへの働きを強めたもの)
以上4つに分類されます。
定型抗精神病薬編でも書きましたが、陽性症状が活発なときにも脳の黒質線条体ではドーパミンの放出は過剰ではありません。
定型抗精神病薬はこの関係のない経路のドーパミンを遮断するから錐体外路症状が起きます。
しかし、非定型抗精神病薬はドーパミン受容体遮断だけでなく、セロトニンや受容体をはじめとする様々な受容体への遮断作用を持ちます。
セロトニンはドーパミンの放出を調整する作用がありますが、詳しく説明すると難しくなってしまうので・・・
流れで説明すると
非定型抗精神病薬は、セロトニン受容体と結合してドーパミン放出量を上げる
→ドーパミンの放出量が上がる
→次に遅れてドーパミン受容体と結合
→ドーパミン受容体と結合してもドーパミンは多い状態なのでドーパミン受容体を遮断しても相対的に
錐体外路症状が出にくくなっている。
同じことが漏斗下垂体でも怒っているため高プロラクチン血症や性機能障害が起きにくくなる。
これが中脳辺縁系であれば陽性症状改善しないんじゃない??と思ったあなた!
鋭い!!!!
実は中脳辺縁系にはセロトニン受容体の分布が少ないんです。
なのでセロトニンの影響はあまり受けずに、ドーパミン受容体は過剰とならない程度に遮断され抗精神病作用が発揮されるのです!!
こうした薬物動態から、定型抗精神病薬より、錐体外路症状や陰性症状の悪化を生じにくいのですが、
この特性を生かすには条件があります。
それは、「至適用量」を守ることです。
ドーパミンを遮断しすぎると、特性は生かされず、定型抗精神病薬と同じような副作用が出現してしまうので注意が必要です。
代表的な抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、アリピプララゾール)
リスペリドン
非型抗精神病薬で日本中では最も古い薬剤。セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA)
陽性症状、陰性症状にともに比較的良く効果を示す。適用量範囲内では過鎮静になりにくい性質がある。
定型抗精神病薬に比べ、錐体外路症状などの副作用が比較的少ない特徴がある。
財形により効果発言時間に違いがあり、うまく利用することで急な病状変化への応用が考えられる。
オランザピン
リスペリドンの次に発売され、非定型抗精神病薬で陰性症状、陽性症状に改善効果がある。
他の非定型抗精神病薬にくらべ、鎮静作用が強い。
1日1回という用法であり、服薬ストレスが少ない。
糖尿病がある際は血糖値異常上昇による代謝異常で死に至る可能性があるため禁忌です!
アリピプラゾール(エビリファイ)
他の抗精神病薬はドーパミン受容体に結合すると完全にシグナルを遮断し、0%にするが、
アリピプラゾールはドーパミン受容体に結合したのち、自らが30%ほどのシグナルを発します。
自らがシグナルを発することで、ドーパミンの神経伝達物質がかじょうなときにはそれを抑制し、低下しているときには促進するという調整機能がついています。
このような作用から陽性症状を抑えつつ、錐体外路症状を出現することが少ないため2次性の陰性症状を引き起こしにくいこともある。
重大な副作用
重大な副作用、代表的なものは、
過鎮静、錐体外路症状、悪性症候群、高プロラクチン血症、起立性低血圧があります。
①過鎮静
過鎮静は定型、非定型抗精神病薬問わず抗精神病薬を至適用量以上に投与した時には生じてしまいます。
ドーパミン受容体の遮断されすぎのほかにも、抗ヒスタミン作用による眠気、抗ムスカリン作用による認知障害、抗アドレナリン作用による倦怠感も過鎮静に含まれます。
急性期に興奮が持続した結果、心身共に疲弊しているケースでは症状の改善よりも回復のために安静を保持する必要があります。
そんな時に治療としてあえて過鎮静を利用する場合はありますが、一時的なものです。
治療への抵抗感を妨げるような過鎮静状態は極力避けていかなければなりません。
②錐体外路症状(EPS)
人は運動という行為の中で、動かした筋肉を思ったところまで動かしていくという随意の行為しか自覚していません。
しかし、筋肉をちょうどいい位置で止めるとういう隠された不随意の行為があります。
この後者を司っているのが錐体外路といいます。
人の繊細な動きが出来るのは錐体外路系が主役と言っても過言ではありません。
錐体外路症状には
〇アキネジア、パーキンソン病様症状
筋緊張が後進し、筋肉が滑らかに動かず、運動が減少するもの(筋強剛、振戦、小刻み歩行、すり足歩行など)
〇ジストニア
筋緊張が以上となり強直、捻転が生じ、奇妙な姿勢になる。抗精神病薬の投薬書記や増量後の早期に見られる。
〇アカシジア
手や足に不快感が生じ、特に足の不快感がひどいために歩き回り、じっとしていられない状態
〇遅発性ジスキネジア
抗精神病薬を長期に服用した後、急に発現する症状。
口ではオーラルジスキネジアと言って何も食べてないのにもぐもぐして口を動かしたり、舌を出したりを繰り返す。
があります。
錐体外路症状は抗精神病薬によって黒質線条体のドーパミン受容体が遮断された結果、アセチルコリンが過活動になることが原因で出現します。
対処として抗コリン作用のある抗パーキンソン病薬(抗コリン薬)を対症療法として使用します。
抗コリン薬は黒質線条体以外にも効いてしまうため、副作用があります。
アセチルコリン系は記憶や認知機能も司っているため、悪影響として機能低下します。
それが統合失調症の陰性症状と似ているため注意観察が必要です。
また抗コリン薬を中止する場合はコリン作動性リバウンド症候群を出現させる可能性があるため、覚えておくべきだと思います。
これは当事者が今まで経験したことのない症状(インフルエンザ様)を引き起こすので注意観察しましょう!!
③悪性症候群
抗精神病薬で最も重篤な副作用です。
40℃以上の発熱、筋肉の強剛が顕著に表れる。
前駆症状としては
発汗、頻脈、無動、筋硬直、振戦、などがあります。
治療としてはすぐに薬を止め、ダントリウム(筋弛緩剤)を投与します。
経験上、準備期間として多飲水や栄養状態の不良、脱水などがありますので頭の片隅に入れといてください(‘;’)
④高プロラクチン血症
プロラクチンは脳下垂体から分泌されるホルモンです。
下垂体は視床下部でコントロールされ、その視床下部はドーパミン神経によってコントロールされます。
プロラクチンは人では乳汁分泌ホルモンと言われ、普段の生活では大量に分泌されないように制御されています。
視床下部が妊娠を察知すると、そのブレーキが解除され、乳汁の生産を促します。
ところが抗精神病薬によってドーパミン受容体が遮断されると、視床下部ー下垂体のブレーキが解除されて、プロラクチンの産生が促進され高プロラクチン状態となります。
このため妊娠することのない男性でも、乳房が主張して痛みを感じたり、乳汁が漏出されることがあります。
薬剤の種類や容量の問題はありますがスルピリド(ドグマチール)は高プロラクチン血症になりやすく、高容量では乳汁分泌が認められることが多いです。
また、関連してEDの問題もあります。
高プロラクチン状態でEDになることが多く、ほかにもノルアドレナリンが関連してきますが、性機能障害に関連しているので覚えておきましょう!!
⑤起立性低血圧
抗精神病薬はアドレナリン受容体にも作用します。
アドレナリン受容体を遮断すると血圧が常に下がり気味となり、起立性低血圧を起こします。
まとめ
抗精神病薬や副作用もたくさんあって覚えにくいと思いますので、代表的な例を挙げました。
臨床で使うことの多い薬剤を上げましたので、是非覚えておいて損はないと思います。
わからなくなったときはすぐに見返して、確認しておけるようにしましょう(^^♪
薬の効果が分からないのに使用するのは恐ろしいことですよね(´;ω;`)
私も副作用の観察、患者に今起きてる異変を薬剤から推測できるか、ワンランク上の看護師になれるように日々精進していきます。
さらに詳しく知りたいと思う方は下記の本を参考にしましたので是非読んでみてください(^^)/
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ありがとうございました<(_ _)>
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